学科長・専攻長からのメッセージ

地球総合工学科・専攻は、市民生活を支えるインフラストラクチャーや生活空間となる建物、物流を支える船舶や交通施設をはじめとするメガスケールの施設・構造物の建設、維持・管理に関わる科学技術を進化させ、その成果を社会に反映し、よりよい社会の実現を目指しています。近年頻発している地震や台風、豪雨などの自然災害、新たな感染症の拡大、人口減少を背景として、より強靱で安全・安心な社会を効率的に構築していくことが喫緊の課題です。同時に、人類と文明、自然環境の持続性というSDGsの観点からも、洋上風力発電や地熱発電といった再生エネルギーの開発、施設・構造物の省エネルギー化など、脱炭素社会の構築に向けて日々研究開発を進めています。

地球総合工学科/専攻は、以前は別々の学科であった、船舶海洋工学,社会基盤工学、および建築工学の3つの学科を統合し、誕生しました。「地球総合工学科」は、全国でも他に例はなく、大阪大学だけにしかない学科/専攻です。単に3つのコースが1つにまとまっているという訳ではなく、機動的・流動的にそれぞれの学問領域の連携と様々な研究協力を可能とするとともに、人文科学など広範な学問分野や様々な国、民間企業、自治体など様々な機関を巻き込んだ学際的な研究・教育を推進しています。

資源に恵まれない島国である我が国にとって、海外から輸入する原材料やエネルギー資源、食糧を取り入れるための海上輸送は非常に重要です。国内での交通網や社会インフラを構成する様々な都市施設は、産業と生活の基盤を支える重要な基盤施設であり、日々の生活のために、安心・安全で快適な居住空間を提供する建築は、人々の幸福のためになくてはならない存在です。我々の学科/専攻は、このように人類社会にとって極めて重要な学問である地球総合工学を学び、社会に貢献し、世界に通用する人材の育成を可能とするカリキュラム、研究環境を備えています。社会と世界の人々のために役に立ちたいという志をもった皆さん、ぜひ大阪大学の門戸を叩いて下さい。

地球総合工学科長・専攻長
教授 乾 徹

コース紹介

地球総合工学科の教育・研究は、自然と調和する人間社会を実現するために、自然、人間文化と工学の融合、快適性の追求と有限な資源との調和、最先端技術の創造やシステムに関する高度な専門知識の継承と発展を目指して行い、地球の持続可能な未来に配慮しつつ魅力的な人間社会を創造できる人材、高い倫理観とリーダーシップを持ったグローバルな人材を育成することを目標にしています。

  • 船舶海洋工学科目
    船舶海洋工学コース(学部・大学院)
    船舶海洋工学コースでは、船舶、海洋構造物など海の人工物を活用し、海からの視点で地球規模問題の解決を図ることができる技術者の育成を目指しています。
  • 社会基盤工学科目
    社会基盤工学コース(学部・大学院)
    社会基盤工学コースでは,豊かな自然環境の中で,安心して暮らせる持続可能な社会の基盤形成と活用に貢献できる技術者を目指して,幅広い専門分野を学びます。
  • 建築工学科目
    建築工学コース(学部・大学院)
    建築工学コースでは,建築物をデザインし,ものをつくるために必要な柔軟で豊かな発想と緻密な論理,幅広い知識を育成するための教育,研究を行っています。
  • 海洋・都市基盤国際プログラム
    International Program of Maritime and Urban Engineering(大学院)
    海洋・都市基盤工学グローバルリーダー育成特別プログラムは、留学生のための三つの分野を跨ぐ国際大学院プログラムです。社会課題を解決できるグローバルリーダー育成を目指します。

入学から卒業まで

  1. 1年次
    1年次は幅広い教養と専門領域の基礎概念を学ぶためのカリキュラムが組まれています。総合大学の特長を活かした全学レベルの共通教育科目、専門基礎教育科目、さらには地球総合工学科で共通の専門教育科目を学びます。
  2. 分属
    1年生終了時に社会基盤工学科目、船舶海洋工学科目、建築工学科目に分属が行われます。
  3. 2~4
    年次
    2年次に進むと各学科目での専門科目がスタートします。3年間の各学科目のカリキュラムに従って、専門領域の知識を一層深めます。4年次になると研究室に分かれ、各人がそれぞれ研究テーマを選び、教員から指導を直接受けて最先端の研究に取り組みます。所定の単位を取得し、卒業論文が完成すれば卒業となり、学士の学位が与えられます。
  4. 大学院
    学部卒業者の約90%は大学院へ進学します。大学院前期(修士)課程では、配属された各研究室でのゼミナールやミーティングを通して、修士論文の研究を中心に専門知識のレベルアップや研究力の習得を図ります。講義や修士論文研究以外にも、各種の研究会や国内・国際会議に参加する機会も与えられ、家族的で楽しくも厳しい生活を過ごすことになります。大学院後期(博士)課程では、研究者になることやより高度な知識の習得を目指して、国際的トップレベルを意識した研究主体の生活を送ることになります。単に教えてもらうことから脱皮し、ハイレベルな研究テーマに対して、指導教員や国内外の研究者と議論することによって、自分で考え自分で解決できる能力を身に付けることになります。