一般財団法人 日本文化教育振興財団

学科・専攻案内
地球総合工学の特徴


地球上のあらゆる生態系は、地圏、水圏および大気圏を共通の基盤として有機的に結びついています。急速な技術の進歩は、人類に大いなる利便性をもたらしましたが、他方で、地球規模での資源の枯渇や環境の劣化などの大きな問題を蓄積しつつあります。さらに2011年の東日本大震災は我々に自然の脅威を見せつけました。これらのことから今日においては、地球環境、人間文化、生物共生と安全・安心な社会を視野に入れた新しい工学の枠組みの構築と、その目指すべき方向を究明することが必要になっています。
地球総合工学科の教育・研究は、このような自然と調和する人間社会を実現するために、自然、人間文化と工学の融合、快適性の追求と有限な資源との調和、最先端技術の創造やシステムに関する高度な専門知識の継承と発展を目指して行い、地球の持続可能な未来に配慮しつつ魅力的な人間社会を創造できる人材、高い倫理観とリーダーシップを持ったグローバルな人材を育成することを目標にしています。
船舶海洋工学コース

広範な知識と創造力で「海」を担う

「海」は人々に自然の脅威とともに、多くの恵みをもたらします。海に学び、海を守り、海を翔け、海を拓く。そのために必要な人工物の創造に関わる設計、解析、ロボット、海洋環境、海洋エネルギーなどについて学ぶのが船舶海洋工学コースです。この学びを通して,「海」を担う人材に不可欠となる広範な知識と創造力を養うことができます。
社会基盤工学コース

持続可能な社会の基盤形成と活用に貢献

社会基盤とは,道路・鉄道・港湾・空港,河川・上下水道施設,エネルギー関連施設,情報関連施設など,人間が生活するのに不可欠な公共的施設のことです。社会基盤工学コースでは,豊かな自然環境の中で,安心して暮らせる持続可能な社会の基盤形成と活用に貢献できる技術者を目指して,幅広い専門分野を学びます。
建築工学コース

豊かな発想力と見識を建築に活かす

建築工学コースでは,建築物をデザインし,ものをつくるために必要な柔軟で豊かな発想と緻密な論理,幅広い知識を育成するための教育,研究を行っています。設計,環境,設備,構造,生産など,建築に関する様々な科目を学ぶことによって,建築家あるいは建築技術者にふさわしい高い見識と幅広い知識を身につけることができます。

学科長・専攻長からのメッセージ
地球総合工学科・専攻は,市民生活を支えるインフラストラクチャーや生活空間となる建物,物流を支える船舶や交通施設をはじめとするメガスケールの施設・構造物の建設,維持・管理に関わる科学技術を進化させ,その成果を社会に反映し,よりよい社会の実現を目指しています.近年頻発している地震や台風,豪雨などの自然災害,新たな感染症の拡大,人口減少を背景として,より強靱で安全・安心な社会を効率的に構築していくことが喫緊の課題です.同時に,人類と文明,自然環境の持続性というSDGsの観点からも,洋上風力発電や地熱発電といった再生エネルギーの開発,施設・構造物の省エネルギー化など,脱炭素社会の構築に向けて日々研究開発を進めています.


     地球総合工学科長・専攻長
教授 乾 徹

地球総合工学科/専攻は,以前は別々の学科であった,船舶海洋工学,社会基盤工学,および建築工学の3つの学科を統合し,誕生しました.「地球総合工学科」は,全国でも他に例はなく,大阪大学だけにしかない学科/専攻です.単に3つのコースが1つにまとまっているという訳ではなく,機動的・流動的にそれぞれの学問領域の連携と様々な研究協力を可能とするとともに,人文科学など広範な学問分野や様々な国,民間企業,自治体など様々な機関を巻き込んだ学際的な研究・教育を推進しています.

資源に恵まれない島国である我が国にとって,海外から輸入する原材料やエネルギー資源,食糧を取り入れるための海上輸送は非常に重要です.国内での交通網や社会インフラを構成する様々な都市施設は,産業と生活の基盤を支える重要な基盤施設であり,日々の生活のために,安心・安全で快適な居住空間を提供する建築は,人々の幸福のためになくてはならない存在です.我々の学科/専攻は,このように人類社会にとって極めて重要な学問である地球総合工学を学び,社会に貢献し,世界に通用する人材の育成を可能とするカリキュラム,研究環境を備えています.社会と世界の人々のために役に立ちたいという志をもった皆さん,ぜひ大阪大学の門戸を叩いて下さい.

 

2023年6月吉日 地球総合工学科長・専攻長 乾 徹

学科アドミッションポリシー
地球という有限な環境の中で生活する人類は、多様な自然や生物と共存しながら人間社会を築き持続させて行くために、それを構成する各種の高性能人工物を構築あるいは築造するとともに、その中でどのように生活すれば地球や地域への環境負荷や人間へのリスクを軽減・抑制できるかを工夫しなければなりません。そのために私たちには、人間社会に含まれる多くの現象を分析するとともに、再びそれを総合化し、さらに創造していくという高度な能力が要求されます。

地球総合工学科の教育・研究は、このような自然と調和する人間社会を実現するために、自然、人間文化と工学の融合、快適性の追求と有限な資源との調和、最先端技術の創造と継承などのシステムや技術に関する高度な専門知識の継承と発展をめざして行い、地球の持続可能な未来に配慮しつつ魅力的な人間社会を創造できる、高い倫理観を有する人材を養成することを目標にしています。

以上のような考えにたち、地球総合工学科は次のような人を求めます。

持続可能な地球環境、自然環境の保全、都市や地域の創造と保全、循環型社会の形成、および船舶・建物・交通・防災関連施設など人間生活の場に現れる人工物について深い関心を持っている人
数学、英語、理科、社会、国語などの高い基礎学力を有している人
「自ら考え、行動できる意欲と能力」、「協同できる能力」を持った向上心あふれる人
「柔軟な思考力」、「豊かな感性」、「人間や自然界に対する探求心」などの素養を持っている人
専攻アドミッションポリシー
地球環境を健全に継承しつつ、我々人類が持続的な発展をしていくためには、これまで培ってきた科学技術を有効かつ慎重に適用することによって、便利で快適・安全な空間を創り、それを維持していくことが重要です。そのためには、物理的或いは社会的な様々な人間活動の基盤を、それぞれが単独で完結するものとしてではなく、システムとして緊密に連結しながら高度に総合化されたものとしてデザインし、ネットワークとして運用していかなければなりません。また、四方を海に囲まれた日本は、海洋国家として、海上交通や海洋・海底資源の開発を通じて、国際的になお一層貢献することが求められています。

以上のような理念から、地球総合工学専攻では、自然環境の保全、循環型社会の形成、都市・地域の創造及び船舶・建物・道路・港湾など、人の活動環境を構成する人工物やネットワークの新たな構築・維持保全・再生について、全般的な基礎知識と特定領域に関する専門知識の修得に意欲を持ち、かつ、自ら考え、行動できる能力、柔軟な思考力と優れた感性、そして自然界に対する愛情を有する人を求めています。